2023年11月4日発売の「日経トレンディ2023年12月号」▼Amazonで購入するでは、「2024ヒット予測ベスト30&2023ヒット商品ベスト30」を特集。新型の日焼け止めや男性用日傘、超小型PCゲーム機……。各種の制限解除の流れで出先で使える商品の需要が復活。パンやおにぎりなど身近な商品の大ヒットも相次いだ。“脱コロナ”に向けて躍動した30商品を一挙に紹介する。最後には過去5年分のランキングを振り返る。
※日経トレンディ2023年12月号より。詳しくは本誌参照
2023年ヒット商品ベスト30のトップ5[画像のクリックで拡大表示]制限解除とインフレ、猛暑の板挟みコスパ+αに成功した商品が躍動した2023年3月に「マスクの着用は、個人の判断が基本」となってから、まだ色濃く残っていたコロナ禍の影響が一気に薄くなっていった。5月には新型コロナウイルス感染症が、「5類感染症」に移行した。野球やサッカーの応援も発声を伴う応援が可能になり、花火大会なども再開。形式上は制限がなくなった。
インフレで可処分所得が目減りするが消費行動は楽しみたい。そんな中、人々が手を伸ばしたのは、やや高めだがそれ以上の満足度を得られる「格安プレミアム」な商品だった。例えば、身近な総菜パンやおにぎりでは、プレミアム感のある「生コッペパン」や「ぼんご系おにぎり」が脚光を浴びた。また、以前は「高くつく贅沢」だったジム通いも、低料金の「chocoZAP」の登場で、多くの人がコスパ良く生活の質を向上できるようになった。
「日経トレンディ2023年12月号」の購入はこちら(Amazon)最高35度を超える猛暑日だが外出したい。そんな欲求を満たすため、多くの人が「猛暑プロテクト」商品を手に取った。特に男性用日傘の売れ行きは好調で、22年比で3.3倍になったメーカーもある。「瞬感ミストUV」のように使いやすい日焼け止めもよく売れた。
スポーツ復権も欠かせないトピックだ。24年にパリ五輪を控え、かつ声出し応援が可能になったことで、世界的なスポーツ大会が相次いで“フルスペック”で開催。年間を通じて存在感が大きかったのは野球だ。3月の「第5回ワールド・ベースボール・クラシック」に始まり、「北海道ボールパークFビレッジ」の開場、高校野球、阪神タイガースの18年ぶり優勝とイベントが連続。大谷翔平選手がCM出演した化粧品が売れるなど、試合と関係ない「野球・場外売れ」が消費を加速させた。
また23年は、産業革命にも匹敵する技術革新があった。日本語で使えるAI(人工知能)の「ChatGPT」登場から、一気に「AI産業革命」と呼べるブームに。ユーザーサポートや各種アプリが次々とAI対応になり、省力化によるタイパ(タイムパフォーマンス)を求めて多くの人が使い始めた。AIが投資の資産配分を決めるロボアドバイザーの「SBIラップ」が伸びたのも、AI全体の信頼度向上と関係があるだろう。
売り方の工夫では、発売時に商品の詳細を伏せて「謎」を残す手法が相次いで成功した「こだわり酒場のタコハイ」は「何の味?」と問いかけ、映画「THE FIRST SLAM DUNK」も粗筋などを公表しない戦略に。人々はワクワク感を求めて「ミステリー消費」に走った。
ハリー・ポッター、「ゼルダの伝説」のリンク、マリオとルイージなど、20世紀に生まれた人気キャラクターが、新たな表現手法や“能力”によって、過去最高と言えるヒットを飛ばした。
全30商品のランキング発表【1位】ChatGPT難解だったAIが誰でも使える存在に。検索エンジンやチャットボットが軒並み賢くなり、労働価値換算では25兆円との試算も。
22年11月の公開から矢継ぎ早にアップデートして機能向上を図るChatGPT。23年10月には画像生成も可能になった[画像のクリックで拡大表示]【2位】chocoZAP圧倒的な安さと外履きOKなどの気軽さで、ジムに行くハードルを極限まで下げた。1年2カ月で1000店舗、会員数約84万人に到達。
月数十店ペースで全国に店舗を拡大。20〜30代を中心に、シニア世代まで男女を問わず初心者層を幅広く取り込んだ[画像のクリックで拡大表示]【3位】THE FIRST SLAM DUNK名作スポーツ漫画を3DCGで描き、実際の試合さながらの臨場感に“観客”が熱狂。23年トップの興行収入157億円を達成。
興行収入157.3億円で23年1位。(c) I.T.PLANNING,INC. (c)2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners[画像のクリックで拡大表示]【4位】ゼルダの伝説ティアーズ オブ ザ キングダムヒットした前作にアイテムづくりなどの新要素を加え、23年6月末までに国内326万本を販売。初速はシリーズ最高記録を樹立した。
23年6月までに国内326万本突破。(c)Nintendo[画像のクリックで拡大表示]【5位】ビオレUV 瞬感ミストUV塗り直ししやすいスプレータイプの日焼け止めが、記録的な猛暑を追い風に快進撃。累計出荷数は660万本を超えた。
累計660万本を出荷[画像のクリックで拡大表示]【6位】北海道ボールパークFビレッジ人口5万人台の地方都市に作った最新ボールパークが300万人以上を集客。グルメなどを充実させ、野球ファン以外も呼び込んだ。
開場から約半年で300万人以上が来場。(c)H.N.F[画像のクリックで拡大表示]【7位】こだわり酒場のタコハイ“老舗プレーンサワー”が、「味の想像がつかない」というミステリアスな打ち出しで話題に。年間500万ケースの勢いで売れている。
3カ月半で250万ケース出荷[画像のクリックで拡大表示]【8位】レノア クエン酸in超消臭洗剤でも柔軟剤でも漂白剤でもない第4の洗濯アイテム「すすぎ消臭剤」が新市場の開拓に成功。8週間で400万本を出荷した。
発売後8週間で400万本を出荷[画像のクリックで拡大表示]【9位】パキット乾燥パスタのおいしさを手軽に味わえる袋入りパスタソースが2カ月で100万食超。洗い物を減らしたい、ずぼらな人の支持も得た。
発売2カ月で出荷は100万食超え。23年3月に3種類を発売し、同年9月に「たらこ」が加わった[画像のクリックで拡大表示]【10位】WBC 2023経済効果は2009年大会を超え654億円。大谷翔平が国民的スターに進化し、CM出演した化粧品や時計が相次いで売れた。
“大谷売れ”を原動力に経済効果は約654億円。写真/AP/アフロ[画像のクリックで拡大表示]【11位】生コッペパンしっとりした食感を武器に、ファミリマートのコッペパンが7300万食を突破。全13種の怒涛の商品展開でリピーターを生んだ。
発売から207日間で7300万食を突破した[画像のクリックで拡大表示]【12位】【推しの子】芸能界の裏表も描いた社会派な作風が支持を得て累計1400万部以上。オープニング主題歌「アイドル」は最速で4億回再生を達成した。
ABEMAアニメチャンネルで歴代最多の視聴者数を記録。(c)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会[画像のクリックで拡大表示]【13位】「ハリー・ポッター」再ブーム劇中のセットを作り上げた施設に往年のファンが参集。舞台も計62万人動員、ゲームも世界で1500万本突破とブームが再燃した。
「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京」オープン以来連日完売。‘Wizarding World’ and all related names, characters and indicia are trademarks of and © Warner Bros. Entertainment Inc. – Wizarding World publishing rights © J.K. Rowling.[画像のクリックで拡大表示]【14位】メンズ日傘記録的な猛暑で、美容意識が高くない一般男性も日傘を買い求める新潮流。ワールドパーティーだけで約40万本を販売した。
23年の販売本数が約40万本を記録[画像のクリックで拡大表示]【15位】ラムダッシュ パームイン持ち手を排した特徴的なデザインの電動シェーバーが、1カ月で1万台と記録的なスタート。T字かみそり派の若者の支持も集めた。
計画の15倍となる1万台突破[画像のクリックで拡大表示]【16位】Pokemon Sleep睡眠計にゲーム性を加えた画期的な設計で子どもから大人まで数多くの人の心を捉え世界で1000万ダウンロードと好評。
世界1000万DL突破。©2023 Pokémon. ©1995-2023 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc. Pokémon Sleep is developed by SELECT BUTTON inc.[画像のクリックで拡大表示]【17位】SBIラップ運用をAIに任せるロボアドバイザー投資が好実績で利用者を急拡大。銀行の対面でも拡販し、1年半で資産残高600億円を突破。
開始1年半で残高600億円突破[画像のクリックで拡大表示]【18位】Tamagotchi UniたまごっちがWi-Fi機能を手にした。“メタバース”上での交流機能を付けるなど新たな試みが大成功で、前作以上の販売ペース。
前年同期比138%にシリーズが伸長。(c)BANDAI[画像のクリックで拡大表示]【19位】ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー昭和を代表するゲームキャラクターのマリオとルイージがフルCG映画で大活躍。往年のファンを原動力に興行収入140億円に到達。
興行収入140億円に到達。(c)2023 Nintendo and Universal Studios. All Rights Reserved[画像のクリックで拡大表示]【20位】ジブリパークジブリの世界観を愛知万博の跡地に再現。公園の地形を生かしたリアルな造形が「本物を触れる」と好評で100万人以上が訪れた。
100万人以上が来場。ジブリの大倉庫「中央階段」。(c)Studio Ghibli [画像のクリックで拡大表示]【21位】ぼんご系おにぎり東京の「おにぎりぼんご」が店主のテレビ出演を契機に、“系列店”も大行列に。ふっくら系おにぎりはコンビニにも波及した。
「おにぎりぼんご」人気が過熱し、長蛇の列ができる。1960年に開業し、現在は右近由美子氏が運営(右下写真のみ、関連する「おにぎりこんが」)[画像のクリックで拡大表示]【22位】水グミ シリーズグミ市場拡大の流れの中で、透明なグミが「見た目が斬新」と話題に。「氷」など派生商品も好調で累計2500万個売れた。
シリーズ累計2500万個を販売[画像のクリックで拡大表示]【23位】サントリー生ビール酒税法改正の前に一足早く“値引き”した新ビールが、3カ月で200万ケースを突破。より食事に合うすっきり味も奏功した。
3カ月で200万ケース突破[画像のクリックで拡大表示]【24位】たべっ子どうぶつ英単語を学べるビスケットのキャラクターが、イベントなどで大人気。菓子の新商品も好調で、売り上げは2年連続2桁伸長した。
2年連続2桁増収を記録[画像のクリックで拡大表示]【25位】ふりかけるザクザクわかめ地味な脇役だったわかめが、ざくざく食感と中毒性の高い味を備えて、ふりかけ市場で鮮烈デビュー。1年間で300万袋を突破した。
発売約1年で計300万袋を突破。流通関係者の前評判が高い中、韓国風ごま油風味を発売。23年2月に食べるラー油味が加わった[画像のクリックで拡大表示]【26位】阪神タイガースの「アレ」18年ぶりの優勝は経済効果969億円とも。監督の提案をスローガン化した「A.R.E.」が関西を席巻し、関連商品が多数生まれた。
球団公式スローガンは22年12月に決定。目標(Aim)、野球や先輩への敬い(Respect)、個々のパワーアップ(Empower)という意味が重ねられた。写真提供:共同通信社[画像のクリックで拡大表示]【27位】パーソナル食洗機 SOLOTA「自炊しない単身者に食洗機は不要」という常識を覆し、「洗える食器棚」として提案。サブスクも好調で食洗機市場で上位に。
ビックカメラで販売台数1位[画像のクリックで拡大表示]【28位】ROG Ally & Steam DeckPCゲーム市場の拡大を背景に、携帯ゲーム機風の超小型ノートPCが異例のヒット。一時はノートPC市場で1位になるほど売れた。
6月にはシェア1位を記録したROG Ally(ASUS JAPAN)(上)。たびたび品切れになったSteam Deck (米Valve、KOMODO)(下)[画像のクリックで拡大表示]【29位】Lemon8メークなどノウハウ系